ブリンガラージャはタカサブロウ?それともアメリカタカサブロウ?
はじめに——結論から
ブリンガラージャの原料となる「タカサブロウ」と「アメリカタカサブロウ」。この2種は、かつては同種と扱われていた歴史もあります。結論から言えば、実用上はそれほどこだわらなくても良いと思われます。では、ややこしいですが、もう少し詳しく解説しましょう。
形態の違い——比較
- 茎:相対的に赤みが強い
- 葉:鯯歯(きょし)は細かく不鮮明
- 種子:縁に翼状のひだがあり平滑
- 学名:Eclipta thermalis(=Eclipta prostrata のシノニム)
- 茎:相対的に赤みが薄い(緑〜白っぽい)
- 葉:鯯歯が比較的鮮明
- 種子:縁に翼がなく、菱形(くさび型)
- 学名:Eclipta alba (L.) Hassk.
この2種は形態が酷似しており、ともに1年生の薬草です。中国でも強壮の薬草として利用され、熱帯・亜熱帯地域に広く分布しています。
学名・分類について
Eclipta alba を Eclipta prostrata と別種とする見解(1998年など)もありますが、USDA(米国農務省)や Kew Gardens(ロイヤル・ボタニック・ガーデン)のデータベース等では、E. alba を同義語(シノニム)とし、Eclipta prostrata を標準の学名として統合しているケースも多く見られます。
つまり、世界的な植物分類の標準(Taxonomic Consensus)では「この2種は同じものである」と考えられており、すべて Eclipta prostrata というひとつの種の中の変異・地域差(あるいは同物異名)であるという見解に基づいています。
形態上の特徴として、アメリカタカサブロウはタカサブロウに比べて葉身の縁がやや滑らか(または鯯歯の出方が異なる)と表現されることもあります。東洋医学の分野では E. prostrata の方がより広く記載・使用されてきました。
また、現代のアーユルヴェーダ薬草学において最も信頼できる文献の一つである『AYURVEDIC PHARMACOLOGY AND THERAPEUTIC USES OF MEDICINAL PLANTS』では、ブリンガラージャの学名として Eclipta alba が採用されています。
しかし、私が実際にインドやスリランカの薬草園などを訪れた際には、タカサブロウ(Eclipta prostrata)も多く見受けられました。
発毛・毛髮活性に関する研究
医学論文においても、両者はともに非常に活発に研究されています。「発毛・毛髮活性試験」においても、それぞれ別の実験・研究者によって効果が確かめられています。
日本・中医学での位置づけ
もともと「アメリカタカサブロウ」はその名の通り北米〜熱帯アメリカ原産で、アジアにおいては帰化植物とされています。そのため、伝統的なアーユルヴェーダの文脈や現場での使用において、この2種を極端に厳密に区別すぎる必要はないと考えています。
中医学(生薬名:旱蓮草・カンレンソウ)でも、タカサブロウはアーユルヴェーダで言われる効能と重なる非常に優れた効果があるとして採用されていますが、主に使われているのは Eclipta thermalis(=Eclipta prostrata のシノニム)です。
日本では、後から帰化してきたアメリカタカサブロウと区別するために、従来からあったタカサブロウを「モトタカサブロウ」と呼んで分けるようになってきました。
もだま工房の見解
もだま工房では今後、両者やさまざまな産地のものを比較し、私たちが利用するうえでより優れたものを順次選定・グレードアップさせていきたいと考えています。
ただ、現在のところ両者の明確な実用上の優劣は見出していないため、混同・併用した状態にて使用させていただいております。