つらい生理痛ケアとアーユルヴェーダ
早くも10月。今日も石垣島はセミが鳴いてとても暑い一日です。
それでも朝夕は涼しく過ごしやすくなってきました。
明け方はちょっと寒いくらい。昼と夜の温度差をしっかり感じるようになりました。
秋はアーユルヴェーダでは夏の間に蓄積したピッタがあふれ出してきてピッタ性に不調が出やすい季節であると同時に、晩秋にかけては本州では長雨による冷えや、気候の変化によって、ヴァータ性の不調も同時にケアしないといけない季節です。
とくに知らぬ間に体が冷えていて、ヴァ―タの不調でおきるぎっくり腰なども起きやすい季節です。 そして、女性なら「つらい生理痛」が起きやすくなります。
年間を通じた検索トレンドを見ると、10月〜11月(急激な気温低下と寒暖差が起きる時期)や、秋の台風シーズン(秋の長雨・低気圧)にかけて、生理痛や月経不順、PMSに関連する検索ボリュームが目立って増加する傾向が観察されるといいます。
この時期、つらく感じてその対策を調べる人が増えるということですね。
現代医学的にみれば気圧・寒暖差による自律神経と血流の乱れ(血管収縮)が骨盤内の血流障害=子宮の過剰収縮(痛みの増幅)をおこしたり、体内でヒスタミンなどの痛みを増幅させる化学物質や、子宮を強力に収縮させるプロスタグランジンの分泌が高まることが動物実験や臨床データで確認されています。
アーユルヴェーダでは生理の痛みは、下向きに排泄を促すエネルギーである「アパーナ・ヴァーユ(Apana Vayu)」の乱れ・滞りによって起こると考えます。
そのため、秋の生理痛対策は「ヴァータを鎮静化させること」が一番大切です。
その体質ごとに細かなケアの仕方は変わるのですが、だいたいどの人にも共通する項目というものはあります。
ヴァータの性質である「冷・乾」を打ち消す「温・潤・重」のケアを意識することがポイントです。
1「下半身・仙骨」の保温
(腹巻・レッグウォーマー・ホットパック)
【秋を通して毎日】特に生理前1週間〜生理中
2 温かく潤いのある食事
(ギー・根菜・温性スパイス)スープはとてもいいです。
3 オイルケア (アビヤンガ / 足裏・下腹部)
【生理前1週間〜直前】 ※生理当日は「お休み」
これで、「温・潤・重」のケアができます。 これはほぼ誰にでも当てはまるケアです。
では、次にもう一歩踏み込んでハーブで痛みを予防する方法です。
1. 月経周期別ハーブ・セルフケア・生活習慣
① 生理中(月経期・1〜5日目頃)はヴァータ(風)が最も高まる時期です。ホルモン低下と排出の時期で、冷えや子宮の収縮で痛みのピークです。
この時期にはシャタヴァリやクルクマ・コモサなどのホルモン系ハーブはお休みして、フェンネルや生姜(ショウガ)を温かい白湯に煮出して飲むことで、子宮の痙攣(痛み)を穏やかに鎮めます。
過ごし方の工夫としてはできるだけ温めることと安静が大事です。 とはいっても長風呂や強いマッサージは避けて、足湯やホットパックでお腹・腰を温めることで、痛みを早く収められるといわれています。過度な運動・無理なスケジュールを控えるようにしてください。
② 生理後〜排卵前(卵胞期・6〜14日目頃)体内ではエストロゲンレベルが上昇し始めます。エネルギーが充実し心身が最も安定する時期で、カパが優位になってきます。子宮内膜が再構築されます。
自前のホルモンが上昇しているので、ハーブはお休みしていいです。自前のホルモン分泌と周期のメリハリを保ち、ハーブの耐性を防ぐために基本はお休みです。ラサーヤナとしてシャタヴァリを使うことはできますが、少量で十分です。
適度な運動や新しい挑戦に最適な時期ですので、食事もバランスの良い内容を心がけ、アクティブに過ごしましょう。
③ 排卵後〜生理前1週間(黄体期前半・15〜21日目頃)プロゲステロン優位となり、ピッタ(火)が過剰になってきて基礎体温が上がります。
イライラ、胸の張り、肌荒れ(PMS)が出やすい時期です。
ハーブではフィト・プロゲステロン作用を持つ クルクマ・コモサやチェストベリーで、ホルモンバランスを補うのによい時期です。このハーブたちは食後がいいといわれています。
この時期はピッタの過剰を防ぐため、激から料理やアルコール、カフェインを控えた方が楽になるといいます。また、目もピッタの座なので夜のスマホ(ブルーライト)を控え脳の熱を逃がしましょう。
④ 生理前1週間〜直前(黄体期後半・22〜28日目頃)この時期のケアが、生理痛予防の最大の鍵です。
ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が急低下します。そしてヴァータ(風)が急増します。 そのため、冷え、乾燥、不安、子宮の硬直が始まります。このホルモンの急降下によって、のちに生理痛がつらくなります。
・プロゲステロンには「子宮の収縮を抑えて過剰な緊張を解く」働き。
・フィト・エストロゲンは急激なホルモンの変動による自律神経の乱れや頭痛やイライラ、そして子宮の痙攣的な痛みを未然に防ぎます。
・エストロゲンは血管拡張作用(一酸化窒素の産生促進)を持ち、血流をスムーズにします。
生理直前にエストロゲンが底をつくと、骨盤内の血管が一気に収縮して「うっ血・冷え」が起こり、子宮が酸素不足(虚血状態)になります。これが強いプロスタグランジンの分泌と激痛の引き金になります。
フィトエストロゲンが受容体を適度に刺激しておくことで、骨盤内の過剰な血管収縮(冷え・血行不良)を抑え、酸素と栄養が行き届く環境を維持できます。
ハーブは シャタヴァリと(フィトエストロゲン)と、クルクマコモサ(フィト・プロゲステロン作用) そして、 カルダモン・シナモンを 昼・夜で飲み分けます。
昼/夕食後:クルクマ・コモサ(子宮の過剰収縮を弛緩)
就寝前:シャタヴァリを温めたミルク(またはギー&スパイス入り豆乳)で飲む(急降下するエストロゲンをおだやかに着地)
温かい根菜類やギー(精製バター)を摂り、乾燥と硬直を未然に防ぎます。
生理直前(2日前まで)にオイルで足裏・下腹部を優しく塗布します。仕事や予定に空白を作り、リラックスするよう心がけましょう。
まとめ
① ハーブは「生理前1週間のWケア」が最も効果的です
クルクマ・コモサ:受容体にダイレクトに働きかけ、プロゲステロン作用と子宮の緊張弛緩(柔らかくする)を担う。
シャタヴァリ:急降下するエストロゲンの「ギャップ」を埋め、ピッタの熱(イライラ)とヴァータの乾燥(痛み)を抑えて潤します。
この2つを「生理前の約7〜10日間に絞って使い、生理が始まったら休む」というメリハリを作ることで、自然なバイオリズムを損なわずに当日の痛みを大幅に和らげることができます。
② 豆乳や牛乳(アヌパーナ/媒介物)を使う際の工夫
牛乳:アーユルヴェーダでは最高の滋養(ヴァータ・ピッタ鎮静)ですが、消化には重いです。温めてシナモン・カルダモンやショウガ等のスパイスを入れたり、お湯で薄めたりすると消化に優しくなります。
豆乳:フィトエストロゲンを含むメリットがある反面、アーユルヴェーダでは「乾燥・ガスを生む(ヴァータ増長)」性質を持ちます。使う場合は、必ず温め、生姜やシナモン、少量のギー(精製バター)を足すことでヴァータ増長を相殺します。
(先生によっては豆乳を使うくらいならお湯の方がいいといいます。「ヴァータが最も高まりやすい時期には、豆乳よりも温かい白湯(お湯)や、スパイス入りの温めた牛乳をベースにするのが基本とされているからです)
③シナモンが生理直前に良い理由
シナモンはスパイス界でもトップクラスの「微細な血管まで温め、血を巡らせる(温経通脈・駆瘀血)」パワーを持っています。
プロスタグランジンの生成・痛みをブロック(抗炎症作用)
シナモンに含まれる「シンナムアルデヒド」などの精油成分には、子宮の過剰な収縮と激痛を引き起こす炎症物質(プロスタグランジン)の合成を直接抑制する働きが研究で確認されています。
骨盤内の深部を温め、鬱血(血の滞り)を散らす
生理直前にエストロゲンが急減すると、骨盤内の毛細血管が収縮して血流が停滞します。シナモンは体の深部(下腹部・腰周り)を強力に温めて毛細血管を広げ、経血がスムーズに排出される下準備を整えます。
④カルダモンが生理直前に良い理由
カルダモンは、アーユルヴェーダにおいて「ヴァータ(風)の不規則な動きとピッタ(火)の過熱を同時に鎮める稀有なスパイス」とされています。
子宮と胃腸の「平滑筋の痙攣(スパズム)」を解く
カルダモンに含まれる「シネオール」や「テルピニルアセテート」には強力な抗痙攣(けいれん)作用があります。生理直前の子宮がキュッと硬直するのを和らげるだけでなく、生理前にお腹が張る、ガスが溜まる、吐き気がするといった消化器症状を速やかに鎮めます。
下向きの風(アパーナ・ヴァータ)の方向を整える
アーユルヴェーダでは、生理前に便秘になったり経血の排出が滞ったりするのは、経血を下へ流すエネルギー(アパーナ・ヴァータ)が逆流・停滞しているためと考えます。カルダモンはこの風の方向を正常な「下向き」へとスムーズに誘導します。
⑤乳製品や豆乳の「重さ・冷え(カファ・ヴァータ)」を中和する
シャタヴァリなどを温かい牛乳や豆乳に溶かして飲む際、そのままでは粘性が高く消化に負担がかかります。カルダモンを少量加えることで粘性を分解し、胃腸に優しく吸収されやすい状態へと変化(アヌパーナ作用)させます。
おわりに
生理当日の痛みは「生理前1週間の過ごし方の結果」です。
生理前になったら
1「冷やさない(足湯・加温)」
2「五感刺激を減らす(スマホ時間を減らす」
3「消化の火を守る(温かく軽い食事)」
この3つを徹底し、ハーブやスパイスの助けを借りることで、秋の寒暖差に負けないしなやかで心地よい身体を作っていきましょう!
注意
子宮筋腫・内膜症の人は慎重に
妊娠可能性がある周期は医師に相談
ハーブは薬ではないため効果に個人差はあります。