ツボクサと記憶力に関するお話
ツボクサ(サンスクリット名:Brahmi / 学名:Centella asiatica / 和名:ツボクサ)は、脳の活性化や記憶力の向上に効果的として、現代でも多くの論文や実験報告が発表されています。
今回は、ツボクサを与えると学習や記憶に必要な脳神経細胞が大きく成長した、という代表的な実験報告をご紹介します。
論文:「成長期のラットへツボクサの葉のジュースを与えると、扁桃核ニューロンの樹状突起の分岐を促進する」
原題:Enhancement of Amygdaloid Neuronal Dendritic Arborization by Fresh Leaf Juice of Centella asiatica (Linn) During Growth Spurt Period in Rats
【論文の要約】 ツボクサ(ゴツコラ)は、インドの湿地をはじめアジア各地に自生する匍匐(ほふく)性のハーブです。アーユルヴェーダでは、記憶力を高める目的でツボクサの葉が用いられてきました。
本研究では、成長期のラットを用いて、学習や記憶、感情に関与する脳の領域「扁桃核(へんとうかく)ニューロン」の樹状突起の形態変化を調べました。
生後7日目の子ネズミを2週・4週・6週間に分け、ツボクサのフレッシュジュース(体重1kgあたり2ml・4ml・6ml)を与える比較実験を行いました。投与期間の終了後、脳を取り出してゴルジ染色(硝酸銀含浸)を施し、扁桃核ニューロンの樹状突起の長さや分岐数を定量化して、同年齢の無処理グループと比較対照しました。
【結果と結論】 投与期間が長く(4週間および6週間)、投与量が多いグループ(4ml/kg、6ml/kg)において、扁桃核ニューロンの樹状突起の長さと分岐数が大幅に増加しました。
以上の結果から、ツボクサの葉のジュースに含まれる有効成分には、ニューロンの樹状突起の成長を著しく促す特性があると結論づけられます。したがって、ツボクサの有効成分は、ストレス下や神経変性疾患、記憶障害におけるニューロンの成長促進・保護に活用できる可能性があります。
科学が証明するツボクサの力(その他の研究事例)
ツボクサの神経細胞に対するアプローチは、上記の研究だけに留まりません。世界中でさまざまな臨床・基礎研究が行われています。
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記憶を司る「海馬」の発達促進
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同著者らによる別の研究では、記憶の形成に直接関わる脳の「海馬(かいば)」ニューロンにおいても、樹状突起の発達や分岐が有意に促されることが確認されています(Rao et al., 2006)。
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アルツハイマー病・認知症モデルでの神経保護
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認知症の原因物質とされるアミロイドβペプチドによる毒性から脳細胞を守り、記憶・行動障害を改善する効果がマウス実験で示されています(Soumyanath et al., 2012)。
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高齢者の認知機能改善(臨床試験)
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軽度認知障害(MCI)を持つ高齢者を対象とした臨床研究において、ツボクサの摂取により記憶力・学習能力の改善や、不安感の軽減が見られたと報告されています(Tiwari et al., 2013)。
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アーユルヴェーダの智恵と「ブラフミー」の由来
5,000年も昔からアーユルヴェーダで「記憶力の向上に役立つ」と伝承されてきたツボクサ。現代科学の実験によって、実際に脳神経の成長を促すことが実証されているのは本当に驚きです。
はるか昔の人々は、一体どうやってこの事実を知り得たのでしょうか? アーユルヴェーダの伝承では「神様から知恵を授かった」と言われていますが、本当にそうとしか思えないほどのすごさです。
ツボクサのサンスクリット名「ブラフミー(Brahmi)」の語源は、インドの最高神・創造神である「ブラフマン」に由来します。その意味は「最高位の知恵を助けるもの」。
その名に恥じず、現代科学の視点から見ても、私たちの脳と心に素晴らしいアプローチをしてくれるハーブです。