沖縄では「ウコン」と呼ばれるものが5種類ほど主に育てられていますが、その中から「春ウコン」についてご紹介します。
秋ウコンと春ウコンの違い
インドといえば世界一の生産量をほこる「秋ウコン(ターメリック)」が有名ですが、きょうは「春ウコン」のお話しです。春ウコンもインド原産の生薬としてアーユルヴェーダで使われています。
よく、「春に収穫されたものと秋に収穫されたものの違いではないの?」と聞かれますが、秋ウコンと春ウコンはとても近い仲間ではあるものの、まったく違う植物です。
秋ウコン(英語名:ターメリック / 日本の植物名:鬱金 / ヒンディー語:Haldi)
秋に花が咏くのが特徴です。
春ウコン(英語名:ワイルドターメリック / 日本の植物名:姜黄(キョウオウ) / ヒンディー語:Ban-haridra)
春に花が咏くのが特徴です。
地上部を見比べてみてもほとんど区別できませんが、葉っぱの裏を触ると、春ウコンは産毛が生えていてさらさらとした手触りです。一方、秋ウコンはつるつるしていてピタッと手に吸い付く感触がありますので、そこで見分けることもできます。
ただし、大雨のあとなどで成分が少ない時には、両方ともさらさらしていて分かりづらくなることもあります。
また、中医学などでは「鬱金」と「姜黄」が指す植物が入れ替わることがあり、少しややこしいのですが、「呼び名は場合によって入れ替わることもある」と捕えておけばよいでしょう。
春ウコンが持つ成分
春ウコンの有効成分は、クルクミンと、多種に及ぶ豊かな精油成分です。
クルクミンはターメリックの黄色い色素成分であり、肝臓によいほか、近年はアルツハイマーの発症を抑える可能性としても注目されています。春ウコンにもこのクルクミンが含まれているため、断面は鮮やかな黄色になります。
沖縄で育てられているウコンの仲間には、主に以下の5種類があります。
← クルクミン多い ↔ 精油成分多い →
1.薬ウコン2.秋ウコン3.春ウコン4.紫ウコン5.白ウコン
この順番でクルクミンの含有量は多くなりますが、ちょうど真逆に、含まれる精油成分の量は少なくなっていきます。
4や5にはクルクミンはほとんど含まれず、それぞれ異なった精油成分が多く含まれるため、期待される働きも違ってきます。精油成分はとても苦みが強いため、食品としての食べやすさも上記の順番通りになります。そのため、カレーなどとしておいしく食べられるのは精油成分の少ない「薬ウコン」や「秋ウコン」までであり、秋ウコンが最も広く流通しています。

一方、春ウコンは味こそ苦いものの、豊かな精油成分や特有の魅力があることから、健康維持のために大変人気があります。「紫ウコン」以降になると、生で口に入れるには、ちょっと覚悟が必要なレベルになりますが、それだけ個性が際立っているとも言えます(あくまで私の主観です笑)。
アーユルヴェーダにおける春ウコン
アーユルヴェーダの伝統的な古典においては、次のように記されています。
インドでは近年、アーユルヴェーダでの薬草の使われ方を現代薬理学の手法を用いて検証する論文が多数発表されています。それらによると、春ウコンには次のような効果が報告されています。
「頭痛」「抗てんかん」「抗炎症」「抗腫瘍」「免疫学上の効果」「創傷治癒」「抗酸化作用」「抗微生物」「抗糖尿病」「蚊忌避」「抗アレルギー」「胆囊炎・胆管結石などの治療補助」「UVA媒介メラニン生産抑制」「UVA誘発性細胞のオキシダント生成に対する保護」
広がりを見せるさまざまな声と、これからの時代
日本でも、沖縄は春ウコンの栽培が盛んなため、活用された方々からのさまざまな症例や体験談が聞かれます。
中でも驚いたのは、ある精神科の先生(神田橋先生)が臨床的な実感として発達障害の特性や二次的症状に試したところ手応えがあったと語られて以来、同じような症状に悩む人たちの間で自ら試す動きが広まり、今ではネット上や口コミで大きな反響を呼んでいるという点です。
実際、精神的な疾患を持つ方たちが集まる作業所に勤めている友人からも、現場で「すごく効果がある」と評判になり、実際に取り入れられているという話を聴きました。私も興味を持って自ら試してみたところ、頭のなかの緊張がほどけ、脳への血流が増えて精神的にもすっと落ち着くような感覚を覚えました。
もちろん、これらは大規模な治験データに裏打ちされた標準治療というよりは、現場の臨床や個人の体験に基づくものですが、同じ生きづらさや「ぐるぐる思考」に悩む人たちにとって、小さくない希望の選択肢になっているようです。
もちろん、人によって体質や合う合わないはありますし、これが万能の特効薬というわけではありません。しかし、ネットの普及によって、本来の想定とはまた違った角度から植物の秘めたる有用性が発見され、同じ苦しみを持つ人たちの口コミを通じて必要としている人に届いていくというのは、非常に面白い現象だと感じます。
かつて、非常に多くの栄養を含むことが売りだったモリンガが、「おならや体臭が臭くなくなった!」といって広く知られるようになったこともありました。植物の持つ可能性が、時代とともに新しく、そして思わぬかたちで発見されていくのは本当に面白い時代ですね。