石垣島の植物図鑑

クミスクチン

くみすくちん

「猫のひげ」の名でも親しまれる、めぐりを助ける健康茶

沖縄三大野草「クミスクチン(ネコノヒゲ)」の魅力とアーユルヴェーダ的視点

■ 基本情報

学名: Orthosiphon aristatus(和名:クミスクチン、ネコノヒゲ)

サンスクリット語名: Marjarasmasru(猫のひげをサンスリットに訳した現代に作られた流通名)、Arjaka(近縁種の呼び名をあてはめたもの)、Marjarī(マルジャーリー)

ヒンディー語名: Mutri tulsi(ムートラ(尿・泌尿器に関連するもの)とトゥルシーを合わせた流通名。)

これらは「インドの古典原典に古くからある名前」というよりも、「現代のインドのハーブ市場や医療データベースにおいて、その性質や形状から便宜的に用いられているサンスクリット語・ヒンディー語の呼称です」

薬学的性質: 抗菌剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、利尿剤

クミスクチン(和名:ネコノヒゲ)は、古くからアジア各地やヨーロッパで利用されてきた歴史を持つハーブです。沖縄では1960年代に本格的な栽培が始まり、現在ではグァバ、ウコンと並んで「沖縄三大野草」の一つに数えられています。

今回は、このクミスクチンが世界でどのように使われているのか、そしてどんな成分が注目されているのかをご紹介します。

■ 世界の伝統医療における使われ方

クミスクチンは、地域ごとに様々なアプローチで人々の健康を支えてきました。

沖縄
古くから腎臓病や膀胱炎、むくみ、関節炎などのケアとして、お茶として親しまれ続けています。

東南アジア
伝統的に「腎臓のお茶」と呼ばれています。利尿作用が穏やかで安全なことから、腎臓のトラブル、関節炎の不快感、高血圧に対し、数々の処方で用いられてきました。痛風、糖尿病、リウマチの治療への利用法もあります。

マレーシア
膀胱や腎臓の結石を排出させるため、全草を煎じて飲まれています。腎結石に対する抗結石作用も確認されています。

インドネシア
黄疸、糖尿病、痛風、リウマチ、動脈硬化症の治療のために、他のハーブとブレンドして使用されています。

ヨーロッパ
乾燥させた葉の浸出液を利尿薬として、また尿路の細菌感染症や炎症の治療薬として取り入れています。

■ クミスクチンに期待される2つの大きな働き

① カリウムとサポニンによる「巡り」のサポート
クミスクチンに含まれるカリウムやサポニンが、利尿作用や血圧降下作用を促します。体内の水分代謝を良くして足や顔のむくみを改善するためには、日常的にお茶として飲むのが一般的です。また、血中の中性脂肪を洗い流す働きからダイエットにも良いとされ、中性脂肪代謝に由来する顔の「てかり」対策としてもテレビ番組等で紹介され、大変な人気を集めました。にきび、脂漏性皮膚炎の改善などにも有効と考えられています。

② ロズマリン酸による「抗酸化・抗アレルギー」作用
ポリフェノールの一種である「ロズマリン酸」には、活性酸素を除去する強力な抗酸化作用があります。がん予防や老化防止、細胞を酸化から守る美肌効果が期待されています。さらに注目すべきは、過剰になっている免疫反応を正常に戻す働きです。花粉症などの不快な症状は、ヒスタミンが大量に流れ出し過剰な免疫反応が起きるためですが、ロズマリン酸はこのヒスタミンの分泌を抑えてくれます。そのため、ステロイド剤に代わる副作用のないアレルギー軽減物質として期待されており、アトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症、関節炎などの改善にも役立つと考えられています。

■ アーユルヴェーダ(ドラヴィヤグナ)から見たクミスクチン

クミスクチンはインドネシア原産のため、インドの古典書(チャラカ・サンヒターなど)には直接的な記載がありません。しかし、その薬効や風味からアーユルヴェーダの薬理学(ドラヴィヤグナ)に基づいて分析すると、以下の「ラサパンチャカ(薬物五性質)」を持つと推定されます。

味 (Rasa): Tikta(苦味)、Kashaya(渋味)

性質 (Guna): Laghu(軽性)、Ruksha(乾性)

薬力源 (Virya): Sheeta(冷性)

消化後の味 (Vipaka): Katu(辛味)

古典書に記載がない植物であっても、アーユルヴェーダが息づく現代のインド医療機関では、独自に分析が行われています。例えば、インドの「Viswanath Ayurveda Hospital」の薬草データベースでは、クミスクチンをサンスクリット語で猫を意味する「Marjarī」の名で採用しています。そこでは実際に、上記と全く同じラサパンチャカで分類され、臨床応用されているケースが確認できます。

Viswanath Ayurveda Hospital 薬草データベース「Marjarī」

このように、石垣島など日本の環境で育つ植物も、アーユルヴェーダの視点で読み解くことで、私たちの体質に合わせた活用が可能になります。

■ ご飲用にあたっての大切な注意点

様々な良い効果が期待されるクミスクチンですが、気をつけなければいけないこともあります。クミスクチンには沢山のカリウムが含まれており、健康な方にはとても良い成分ですが、腎臓の機能が低下していて「カリウム制限」を指示されている方にはNGとなります(高カリウム血症のリスクがあるため)。

詳しくは、以下の外部リンクも参考になさってください。

■ (参考)アジア伝統医療で言われているその他の効能

その他、アジアの伝統医療や実験データにおいては、以下のような効果・効能が言われています。

利尿作用
内臓血管の壁の筋肉を「弛緩」させ、尿や小結石の流れを容易にします。痛風、腎臓結石、高血圧に役立つとされます。

抗高血圧効果
カリウムと利尿効果によって血液中の水分やナトリウムが排出されると、血圧が下がり、心臓への負担が軽減されます。

抗糖尿病効果
実験ラットにクミスクチンの全抽出物を使用した場合、対照群と比較して血中グルコース濃度が有意に低下したことが報告されています。

コレステロール阻害効果
LDLコレステロールによる動脈閉塞に関与する酵素を阻害することが示されています。個々の成分を単独で使うよりも、植物全体を使用した場合の相乗効果の方が、より大きな阻害結果を示したと報告されています。

腫瘍抑制効果
実験研究において、クミスクチン抽出物の使用により皮膚癌細胞株の減少が確認されています。

抗酸化効果
多くのフラボノイドを含むため、優れた抗酸化物質として働き、心臓病やがんなどの引き金となるフリーラジカルから身体を保護します。

※ただし、これらはクミスクチンという植物に関する一般的な研究・伝承の報告であり、もだま工房のお茶(食品)にこのような医学的効果があることを示すものではありません。

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